Betterfrost innovative power delivery network defrosts glass in record time
Vicorの電源モジュールを使って、1/20のエネルギー消費量で60秒の解氷を実現
ベターフロスト社の革新的な解氷システムで車のフロントガラスの凍結を瞬時に解消

※ 本リリースは、2026年1月20日(米国東部時間)に発表されました。
Vicor Corporation(本社:米国マサチューセッツ州、CEO: Patrizio Vinciarelli、NASDAQ上場:VICR、以下Vicor)は、Betterfrost Technologies(ベターフロスト・テクノロジーズ)(本社:カナダ、以下:ベターフロスト)が、同社の解氷システムに、Vicorの電源モジュールを採用したと発表しました。
従来のフロントガラスの霜取りは、内燃エンジン(ICE)から発生する大量の廃熱を利用していました。しかし、この手法は熱がフロントガラスの表面に均一に伝わらないためエネルギー効率が低いという課題がありました。電気自動車(EV)の普及に伴い、空調システムはバッテリー駆動へ移行しましたが、依然としてこの従来の手法を踏襲しています。
さらに、EVは静粛性を高めるために車内の気密性が高く、窓ガラスの「曇り」がより大きな課題となっています。特に外気温が氷点下の場合には、走行中にフロントガラスが短時間で凍りつき視界を遮る危険性もあります。現行のHVAC方式ではエネルギー効率が悪く十分な対応ができないため、EVにおける除霜技術の根本的な見直しが必要です。
ベターフロストは、この霜取りの課題を解決する画期的なソリューションを開発しました。独自のアルゴリズムと高電力密度の電力変換モジュールを用いたパルス電力供給技術により、乗用車やトラックの窓ガラスの霜を60秒で溶かします。現行のHVACシステムと比較してエネルギー消費量を1/20にまで低減することに成功しました。


図1: ベターフロスト社の画期的な解氷技術は、パルス電力と高電力密度の電源モジュールを活用することで、エネルギー消費を従来の1/20に抑えながら、自動車のフロントガラスの解氷を60秒足らず完了させます。
さらに重要なのは、乗用車や商用トラックの電動化へ伴う変化です。これまで「無料」で利用できた廃熱が使えなくなり、除霜や曇り除去のエネルギーをメインバッテリーから供給することになるため、走行に使う電力を消費してしまいます。
従来のプロセスを「ショートカット」する、ベターフロストの解氷技術
ベターフロストは、2015年にダートマス大学の ICE(氷・気候・環境)研究室において、「フロントガラスの霜を取り除く際、氷を完全に溶かす必要はない」という画期的な発見をもとに、誕生しました。霜取りには、氷とガラスが接する「界面層」の結合を弱めるだけで十分だったのです。
これを実現するために、ベターフロストは制御された短いパルス電力をガラス表面に印加します。これにより氷の下に薄い疑似液体層が形成され、ガラス全体を加熱することなく瞬時に氷を剥離させることが可能になります。
独自の給電アルゴリズムにより、画期的な性能を実現
フロントガラスやサンルーフの多くは、銀や酸化インジウムスズ(ITO)などの低放射(Low-E)導電膜がコーティングされています。ベターフロスト独自の電力制御アルゴリズムはこのコーティングを電気回路として利用します。これにより、従来のHVACシステムでは約25分を要していたフロントガラスの解氷がわずか1分足らずで完了し、内燃エンジン車と比較してエネルギー消費量を95%も削減することに成功しました。この技術ではガラスの表面を均一に温めるため、ひび割れの原因となる熱ストレスも軽減できます。さらに、外気温が氷点下20℃の環境で暖房に必要なエネルギーが最大27%削減でき、EVの航続距離を延ばすことに直接貢献します。
騒音の原因となるブロワーモーターや、大きくかさばるエアダクトを排除することができるため、快適性が向上し、それにより生まれた貴重な車内スペースを他の用途に有効活用できるようになります。
ベターフロストの技術は、他の産業への応用にも適しています。航空機の翼に使われる高価な除氷材の代替や、風力タービンのブレードへの着氷防止、さらに冷凍倉庫における除霜のエネルギー効率向上させることによる冷却コストの削減も可能です。
小型・高電力密度の電力変換モジュールでガラスへ48Vを正確に印加
ベターフロストのソリューションにおいて極めて重要な要素は、48Vを中心とした電力供給ネットワークです。安全かつ高効率で高速のパルスをガラス表面に印加するため、高電力密度で車載グレードのVicor電圧変換比固定バスコンバータBCM® (800V または400Vから48Vへ変換)が採用されています。
VicorのBCM6135は、3.4kW/in³という業界トップクラスの高電力密度を備えたDC-DCトランスとして動作します。高電圧側に入力された電圧は、モジュールの変換比(Kファクター)に従い低電圧へ変換されます。例えば、Kファクターが1/16の場合、800Vの入力に対して50Vの出力が得られます。
また、Vicorの電源モジュールBCMは、従来のDC-DCコンバータと比較して最大90%の小型化を実現しながら、沿面距離と空間距離の厳格な基準を満たしています。
「Vicorのおかげで、サイズや重量の制約に縛られず、48V給電システムを容易に構築できました。これほどの高効率と高電力密度を実現できるのはVicor以外にありません」と、自動車業界で長年の経験を持つベターフロストのCEO Derrick Redding(デリック・レディング)氏は述べています。
今後の展開に追い風
ベターフロストは現在、自動車メーカーやティア1サプライヤー、物流・運送業者との協業を積極的に進めており、商用トラックやプレミアムEVの早期導入企業(アーリーアダプター)との連携を深めています。今後3~5年の間で、EV・ハイブリッド車のプラットフォームへの導入拡大を見込んでいます。ベターフロストは研究室での発見を、自動車業界を変革する技術へと成長させ、Vicorのようなパートナーとのエコシステム形成を通じて、冬季に頻発する最も危険な課題である霜への対処法を刷新しようとしています。
Vicor について
Vicorは高性能電源モジュールのリーディングカンパニーです。電力源から負荷点まで高い電力密度と高効率を実現する電力供給ネットワークを、モジュールで構成する電源システムソリューションによって実現し、お客様の技術革新に貢献しています。配電アーキテクチャ、電力変換技術、パッケージ技術を、長年にわたり進化させることで、Vicorの電源モジュールは、電力密度、効率、電力容量の向上を続けてきました。Vicor は、ハイパフォーマンスコンピューティング、産業機器、自動車、航空宇宙・防衛などのお客様に製品を供給しており、要件の厳しい産業分野で、電源モジュールの設計、開発、製造を40 年以上続けています。
詳しくは、Vicorウェブサイト: www.vicorpower.com/ja-jp をご参照ください。
Vicor、BCM®は、Vicor Corporationの登録商標です。