
Vicor to unveil breakthrough modular solution for inverter ripple currents
Vicor to present a solution for mitigating inverter ripple currents and voltage in electric vehicles at EEHE conference
電気自動車の進化にともなう電力需要の増加と、多様な車載システムへ電力を供給する方法
By Greg Green / オートモーティブ・カスタマープログラム ディレクター
自動車の電動化が進むことにより、今日の自動車向け電気設計のアーキテクチャが変化しています。電動化が進むことで、自動車を動かすために必要な電力が増し、かつ、様々な車載システムに電力源から給電する方法も影響を受けています。世界中で、航続距離の限界と充電ステーションが少なすぎるという課題について、全力で取り組まれており、経済的にも多くの課題があります。これらの電力についての課題は今までで最も重大な課題かもしれません。
例えば、バッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のパワートレインでは、高電圧バッテリー(800Vまたは400V)が使われており、48Vや12Vの車両アクセサリーへもこのバッテリーから給電しなければなりません。これらの負荷のために降圧するDC-DCコンバータは、大きく重いのが一般的でしたが、VicorのSAC™(Sine Amplitude Conversion)トポロジを用いたコンバータを導入することで、この欠点は小さくできます。SAC技術を使うことで、DC-DCコンバータの重量は最大50%、パッケージの体積は最大60%減らすことができるため、従来の給電方法とは比較にならない非常に大きいメリットが得られます。
自動車で発電していた電力は、車の電動化により、高電圧バッテリーに充電した系統電力に置き換えられます。この変化に加え、電動ステアリングやサスペンション、ADAS、インフォテインメントシステムなど、多くの制御システムやサブシステムのための電力変換が、新たな課題を生みだしています。EVに必要な電力は、内燃エンジン(ICE)車の 20 倍にも上ります。最新のBEVでは100kW以上の電力が必要であり、そのうちの少なくとも4kWをアクセサリーが占めています。これに対してICE車では、合計電力は2.5~4.5kWです。この飛躍的に増大する電力の需要は、車を開発する際の大きな障壁となります。
図1:EVに必要な電力は、内燃エンジン(ICE)自動車の20倍に増大。ICE車の2.5〜4.5kWに対し、今日のBEVには100kW以上の電力が必要です。
開発の際に直面するもう一つの大きな変化に、常に動作して内燃エンジンから電力を作り出していた、12Vのオルタネーターがなくなることがあります。その代わりに電力は、バッテリーに蓄えられた400Vあるいは800Vの、限られた電力源から供給されます。多くのアクセサリー類は、コストと性能が、12Vを用いることで最適になるよう設計されているため、車両に12V電源を確保する必要があります。つまり高電圧バッテリーの電圧を 48V や12V に変換し、さまざまな車載サブシステムに給電するアーキテクチャが必要です。理想的なシステムにするには、重量と体積を減らすために、電力密度を最大限に高めることになります。
電力密度の高いDC-DCコンバータを実現する鍵はSACトポロジです。SACの基本動作は電圧変換比固定の電力変換を実現するゼロ電圧/ゼロ電流スイッチングです。
図2:SACの基本動作は電圧変換比固定の電力変換を実現するゼロ電圧・ゼロ電流スイッチングです。
コンバータをできるだけ小型化するために、1300Hz以上の周波数でスイッチングしています。そうすることで、磁気部品を小さくでき、巻線の長さも短くできます。さらに、8.6MA/sを超える極めて高速な過渡応答性能が得られます。
図3:VicorのSACトポロジは、極めて高速な過渡応答を実現します。ベンチテストによると、0A~80Aの負荷ステップでスルーレートは8.6MA/s、つまりゼロから全負荷まで10μs未満であり、バッテリーの応答より大幅に高速であることが分かります。80A - 0Aの負荷ステップのスルーレートはさらに高速で、17.6MA/sです。
SACトポロジの DC-DCコンバータは、15kW/kg以上、85kW/L以上の高い電力密度が必要なハイパフォーマンスコンピューティング向けに、長年に渡り使われてきました。この同じ技術は、今や自動車の電動化に不可欠です。
図 4:Vicorの電源モジュールは小型で電力密度が高く、フレキシブルに使うことができるので、充電、電力変換、ブリッジングの電源アーキテクチャの設計に役立ちます。
SAC 方式のDC-DCコンバータを使うことで、電源のネットワークの部品サイズを小さくすることができます。さまざまな点で電力供給ネットワークを最適化することができます。バッテリー電圧を48Vに変換することは容易であり、48Vのネットワークから負荷点で12Vに降圧することも簡単です。メインバッテリー(400/800V)から48Vへの変換は、Vicorの高電圧バスコンバータBCM®で容易にできます。BCMは重さ58g、体積0.016Lと小型ながら、48Vで2.5kWの給電ができます。48Vを安定化するには、重さ40g、体積0.01Lの高効率レギュレータZVS PRM™を用います。
安定化した48Vを、ポイント・オブ・ロード用のDC-DCレギュレータDCM™を用いて、12Vに変換することができます。このコンバータは2kWで、重さ29g、体積0.01Lです。SACトポロジを採用することで、安定化した12Vの2kW出力をわずか136gのコンバータで供給でき、システムの重量を最大65%削減でき、DC-DCコンバータのケースサイズを最大50% 小さくできます。
図5:現在最も普及しているBEVのコンバータを比較すると、それぞれの重量とスペースの要件が見えてきます。
これらは現在入手が可能な最も良いシステムですが、ディスクリート部品のなかから最良のもの用いる標準的な設計であるため,電力密度はかなり低くなります。SACトポロジとVicorの電源モジュールを用いれば、大幅に改善できます。
400Vのバッテリーから安定化した12Vで4kWを給電するには、BCM®で絶縁して48Vを出力し、DCM™で12Vに降圧するシステムにする必要があります。BCM6135を2つ、DCM3735を2つ並列にすることで、必要な4kWの電力を供給できます。このチップセットの重量はわずか266gなので重量あたりの電力密度は15kW/kg、占有面積はわずか0.046L、従って1Lあたりの出力は87kWです。車両に組込んで完全に機能させるには、追加の回路が必要です。HVコネクタやLVコネクタ、冷却プレート、筐体、追加回路(逆接続保護、プリチャージ、EMIフィルタ)を載せたPCB、アイソレータ、CAN通信用コネクタなどです。
これらのシステムの部品を加えても、4kWのDC-DCコンバータの重量はわずか1.4kgで電力密度は2.5kW/kg、体積はわずか0.76Lで電力密度は5.22kW/Lです。
図6:Vicorの電源は 、他のソリューションより小型かつ高効率で、電力密度は6倍です。
以上から、Vicor のシステムは、現時点で体積電力密度がもっとも高いテスラのDC-DCコンバータと比較しても、体積電力密度は6倍であり58%小型であると言えます。統計的には、車両の重量を1kg減らす航続距離を0.8km延ばせます。したがってVicorのシステムを使うことで、他の部品を載せるスペースを確保できるだけでなく、航続距離を1km延ばせることになります。さらに、この小型のVicorのシステムは、フォード・マスタングMach-Eと比べて、システムの重量は半分ですが1.7倍の電力を高効率で供給できます。
内燃エンジン車にも電気自動車にも、車両を軽くし最適な車体サイズにするという課題があります。SAC技術を用いてDC-DCコンバータを小型化することで、これらを解決するための道が開けます。
自動車の電動化が進むにつれ、電気自動車を動かすための電力が増え、さまざまな車載システムにいかにして給電するかが課題になっています。
Greg Greenは、Vicor のオートモーティブ・カスタマープログラムのディレクターです。 自動車業界で33年以上の経験があり、OEMやTier 1サプライヤーとの製造、設計エンジニアリング、製品ライン管理に携わってきました。Greg の自動車業界での経験には、製造、製品開発、事業開発も含まれます。 Gregはミシガン大学の航空宇宙工学の理学士号(B.S.) 及び、ケタリング大学で製造管理の博士号(M.S.) を取得しています。
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