電力供給の課題
電力供給の課題
大電力・大電流密度
低ノイズの電力供給
実証済みの放射線耐性
AI computing demands low-voltage, high-current power delivery
AIコンピューティングに求められる低電圧・大電流の電力供給
より高度な演算能力を備えたAI搭載人工衛星への需要が高まっており、最新のウルトラディープサブミクロンFPGAやASIC、その電力供給ネットワークの限界をさらに押し広げています。これらの高性能プロセッサが軌道上でAI処理を行うには、低電圧・大電流という厳しい電源要件が必要です。また、低軌道(LEO)・中軌道(MEO)衛星では温度と放射線の環境条件から、電源システムの設計はさらに複雑化しています。
Delivering low-noise power at the point of load
負荷点に低ノイズの電源を供給
SpacechipsのAI1トランスポンダは、最大133 TOPS(毎秒133兆回の演算)の軌道上のAI処理と機械学習の性能を備えた、スマートで機能構成を変更がすることができる送受信機です。このクラスの演算性能が実現することで、宇宙デブリの追跡による衝突回避、衛星システムの健全性監視、地表のホットスポット検出や火災発生の予測など、宇宙の新たなAI活用が促されます。そして、地球観測、宇宙空間での保守・組立・製造(ISAM)、電気信号傍受(SIGINT)、情報・監視・偵察(ISR)、通信サービスといった数多くの新しいアプリケーションの実現が可能になります。その実現に向け、SpacechipsはVicorと提携して、軌道上AI処理に不可欠な電源アーキテクチャの提供を受けました。SpacechipsのCEOラジャン・ベディ博士は次のように述べています。「これらのマイクロチップは、コア電圧がおよそ0.8Vで、TDCは130Aです。このような大電源の配線は非常に大きな課題であり、通常は多くの基板スペースが必要です。」Vicorのソリューションは、極めて高電力密度でコンパクト、また放熱性能に優れており、小型化とフレキシブルなシステムの両立が可能になります。
Vicor advantages
Vicor の特長
高電力密度
実証済みのソリューション
放射線耐性
ファクトライズド・パワー・アーキテクチャにより小型軽量化と最高のパフォーマンスを実現
Vicor 独自のファクトライズド・パワー・アーキテクチャ (FPA™) は、 DC-DC変換を機能ごとに独立したモジュールに分離することで、これまでの電力供給に革命を起こします。この革新的な方法により、限られたPWB(プリント配線板)スペースを最大限に活用できるとともに、電力損失やノイズを最小限に抑え、シンプルな放熱設計が可能になります。その結果、より優れた性能と高い信頼性を獲得できます。
Vicor の放射線耐性製品ラインナップ では、入力電圧100Vの電圧変換比固定バスコンバータモジュール(BCM)が絶縁と電圧変換を行い、入力電圧を3分の1に降圧して、昇降圧型のプレレギュレータ・モジュール(PRM)へ供給します。PRMはこの電圧を精密に安定化します。電圧変換モジュール(VTM)はPRMが安定化した電圧を受け、0.8V PRMによって0.42V~1.1Vの範囲で調整可能)に変換すると同時に、電流を30倍に増幅し、大電流が必要なFPGAの電源レールへ供給します。
このモジュール構成により、比類のない高効率・フレキシビリティ・高電力密度を実現でき、このことは放射線にさらされるアプリケーションで使う高性能コンピューティングという厳しい環境では、極めて重要なメリットです。
Xilinx(現AMD) Versal FPGAをベースとした再構成可能なAI搭載トランスポンダにより、通信トラフィックの状況に応じて、使用するRF周波数帯、チャネル管理、変調方式、通信規格を自律的に変更しながらリアルタイムのオンボード処理を行うことが可能になります。さらに、Vicorのコンバータモジュールは電力変換部が二重化されています。フォルトトレランスが求められる宇宙用途向けに、冗長構成の電力変換部は各々100%の負荷を取ることができます。
「VicorのFPAによるソリューションは、きわめて小さいサイズに納まり、とても洗練されて効率が良い。市場のあらゆる製品と比べて、まさに桁違いに優れている。」とベディ氏は述べています。
電力供給ネットワーク (PDN)
Vicorのファクトライズド・パワー・アーキテクチャ(FPA™) では、DC-DC変換を機能毎に独立したモジュールに分割します。バスコンバータモジュールBCM®で絶縁を行い、レギュレータPRM™で電圧調整を、カレントマルチプライヤVTM™でDC変換を行います。これにより、高効率でフレキシブル、高電力密度の電力供給が可能で、特にハイパフォーマンスコンピューティングのアプリケーションで大きな効果が得られます。

衛星向け PRM™ レギュレータ
非絶縁 レギュレータ
入力電圧: 33V (30 – 36V)
出力電圧: 25V (13.4 – 35V)
出力電力: 200W
出力電流: IOUT 7.69A
ピーク効率: 97.5%
29.2 x 19.0 x 7.4mm
18.2g
50krad, 35MeV•cm2/mg

衛星向け VTM™ カレントマルチプライヤ
絶縁 電圧変換比固定
入力電圧: 25V (13.4 – 35V)
出力電圧: 0.42 – 1.1V
出力電流: 150A
Kファクター: 1/32
ピーク効率: 94.3%
29.2 x 19.0 x 4.9mm
13.3g
50krad, 35MeV•cm2/mg

衛星向け BCM® バスコンバータ
絶縁 電圧変換比固定
入力電圧: 100V (94 – 105V, 120V transient)
出力電圧: 33V (31 – 35V)
出力電力: 400W
Kファクター: 1/3
ピーク効率: 96%
33.5 x 23.1 x 7.4mm
26g
50krad, 35MeV•cm2/mg
